「ヘレディタリー 継承」感想 


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「人はどういう映像に気持ち良さを感じるのか」みたいなのはおそらくは学問として理論化されているのだろうし、世の娯楽作品のほとんどはそういう理屈のもとで作られていると思う。

この作品は逆で「どういう映像に人は不安感、不快感を感じるのか」というのを徹底的に計算されて作られている。まあとにかく嫌な映画です(褒めてます)。嫌でないカットはひとつもない。常に嫌な感じ。そんな作品でありながらも最終的にはまっとうな娯楽作品として成立させているというのが本作の白眉なところ。超絶的な映画技巧を存分に堪能できる一級ホラー映画。

チャリのトレーニングに例えるなら、大体のホラー映画はインターバル練習みたいに緩急を織り交ぜたような構造になってるけど、本作はアップも無しでいきなりL4に突入して、間にL5~L7を挟みつつ、最後まで強度が緩む事がないという感じ。最後の方は「いや、もういいから、そろそろ勘弁して」という気分になってくる。神経がサンドペーパーで擦られるような感覚。

音響がすごく凝っていて、映画の中の音なのか、周りの観客が実際に立てている音なのか区別がつかないことが何度かあった。こいうのも嫌だねぇ~。